カテゴリ : RIDERS CLUB
最終更新日 : 2024年08月08日
RIDERS CLUB 2023年 11月号 掲載 【記事】好きだから、こだわりたい 「最初は消極的だったマシンチェンジが、走る楽しさを蘇らせた」
好きだから、こだわりたい
点火から燃焼という行程は100万分の1秒というわずかな時間で、いかに混合気を燃やし切るかが鍵を握る、繊細かつ重要な瞬間だ。
PHOTO / N.SHIBATA | TEXT / Y.FUJITA
取材協力/オカダプロジェクン TEL044-822-3341 https://www.okadaprojects.com/
問 / モトコルセ TEL046-220-1611 https://www.motocorse.jp
燃焼力を向上させてライディングの爽快感を高める。
現代のバイク、特にインジェクションモデルは、緻密に設計されたマッピングと各種センサーにより、混合気に対して最適なタイミングで点火し、理想的な燃焼を発生させ、安定したパワーヒトルクを生むように設計されている。しかし混合気は、スロットル全閉から中間開度までの空気流入量が少ない状況や、パーツの経年劣化などにより、理想の状態にならず、1回の点火で完全燃焼できない場合もある。未燃焼ガスは燃焼室にカーボンを蓄積させたり、不快な振動の原因になったりするうえ、大気に放出されると環境にも良くない。確実な燃焼は、現代のバイクの大きな課題なのだ。
オカダプロジェクツのプラズマブースターは、純正点火コイルの配線に並列装着するだけという、少ないリスクで確実に効果が出る点火系チューニングパーツだ。この製品にはスパークの電流増大と回数増加という機能がある。一般的な点火系チューニングは電圧だけを上げるが、こちらは電流も約2倍に増大。スパークが生む火種(火炎核)が大きくなり、火炎伝播速度が高まることで燃焼効率が向上。さらに通常の1回の点火に加え、100万分の1秒単位で複数回スパークさせ、着火性と燃焼効率を向上させている。また、純正の配線に並列装着なので、万が一本体が故障しても点火システムには影響を与えないので安心だ。
今回、Z900RSでプラズマブースターの動作を確認した。下のグラフがその結果で、赤い丸で囲った部分を見ると、ノーマルでは波形の立ち上がりは1回だけだが、装着後は4回確認できる。この効果は、スロットル開け始めのスムーズさ、レスポンスのリニアさ、エンジンの振動の低減、冬季の始動性向上、パワーとトルクの向上(ドウカティ·998Sの場合、132ps → 153ps)として現れる。また、ノッキングやデトネーションの発生も抑制してカーボンの堆積を低減。エンジンの状態を良好に保つ効果も期待できる。
装着したオーナーの中には、走行前に排気ガスの匂いが減少していることに驚く人もいるという。モトコルセはこのエンジン性能向上をデータと体感で確認してその効果を信頼。イタリア車を中心に開発協力し、コラボモデルとして販売している。数々の好影響はサーキットはもちろん、街乗りでも大いに発揮され、体感できる。愛車のエンジンが持つ本来の性能と官能を、プラズマブースターで体験して欲しい。
写真補足テキスト
プラグの点火をオシロスコープで計測したところ、ノーマルでは1回しか立ち上がらなかった波形(写真の赤い○部分)が、プラズマブースターを接続すると4回以上の波形を確認できた。このマルチスパークが混合気を効率的に燃焼させ、多くのメリットを生み出す。
Z900RS はダイレクトイグニッション仕様なので、各気筒のイグニッションの配線に、プラズマブースターの配線を介入させて装着する。